COLUMN

2023/07/23 14:26


IKOU Bib(スタイ)がどのようにして生まれたのか、開発ストーリーをお届けします。1枚のスタイに詰まったたくさんの想いを、皆さまに知っていただくことができたら嬉しいです。

開発のきっかけは、自分たちの困り事

河井麻未(以下 河井):まず最初にスタイを作ったきっかけは、ユリさん(松本)のスタイ探しの困り事からでしたね。

松本友理(以下 松本):そうですね、マミさん(河井)と一緒にIKOUでキッズウェア作りに取り組むにあたって、まず最初にスタイを作りたいと伝えました。

私の息子には脳性まひという障害があるので、口の周りの筋肉を使うことがとても苦手です。食事の形態は1歳頃からずっと変わっていないし、よだれがとても多くて。特に、本をめくったり、集中して作業をしていると、5分もすると服の首周りがよだれでびしょびしょになってしまいます。だから、スタイは必需品なんです。

百貨店や量販店で売ってるものから、インターネットで検索した海外のものも含めて、理想のスタイを探し続けていたんですが、見つからなくて。市販のスタイだとすぐに濡れてしまうので、当時は常に5枚くらい持ち歩いていましたね。

息子の大量のよだれにも耐えられる吸水性はもちろんなんですが、やっぱりデザインも大事で、洋服に馴染むシンプルなデザインのものを探していました。でも、スタイって基本的にはベビー向けなので、かわいいデザインのものばかりで。もう赤ちゃんじゃない、大きくなった子どもが使っていても違和感がないシンプルなスタイって、日本だけじゃなく海外のブランドも含めて探しても全然無くて、途方に暮れていました。

その時から、障害児の親に限らず、健常児の赤ちゃんを育てている親でも、機能性が高くて、かつシンプルなデザインのスタイが欲しい人ってきっといるに違いないということはずっと考えていたんです。

河井:私の息子も脳性まひでスタイを使っていますが、常によだれが多いというわけではなくて。椅子に寄りかかって座っている普段の姿勢ではよだれは出ないんですが、前にもたれて何か活動する時とか、リハビリの時などはたくさんよだれが出るので、いつもスタイはしていました。

わが家の場合は、機能性よりもデザイン的に欲しいものがなかなか見つからないなと感じていたんですよね。3歳くらいまでは四角いタオルを半分に折って三角にして首につける形のものを愛用していましたが、本当にそれくらいしか使えるものがなかったんです。

ユリさんが求めていた高い吸水性があって、デザインもシンプルでこれから子どもが大きくなっても使いたいと思えるものを、というところから企画をスタートしました。

「よく吸って、すぐ乾く」理想の生地を求めて


河井:まず最初に試作品を作る為に、世の中の吸水性を謳っている生地を色々と探しました。タオルやTシャツを買ってきて、それを分解してスタイを作って、自分たちの息子でテストをするっていうことを繰り返して。

そこで気づいたのが、吸水性を謳っている綿素材の生地は、たくさん吸うけれどもなかなか乾かず濡れたままになってしまう一方で、速乾性のあるポリエステル素材のTシャツでスタイを作った時に、圧倒的に乾くのが早いということ。息子につけて過ごしてみたら、夏だと本当にすぐ乾くので驚いて、これすごくいいなという発見がありました。

松本:その Tシャツを切って作ってもらったスタイは、うちの夫が速乾性に感激して、「これが売ってたら10枚買う」って本当に気に入っていました。スタイってたくさん吸うのが大事っていうイメージだったんですが、濡れたままだと不快で、すぐに乾くことも大事なんだっていうことは大きな発見でしたね。

河井:そんな経緯でポリエステル素材に着目してから、本格的に生地屋さんを回って、生地を探しはじめました。

ポリエステル素材は表面がツルツルしたものが多いので、スタイに合いそうな記事を見つけるのがすごく難しくて。沢山の生地を集めてみたんですけど、速乾性は優れていても、生地の表面の印象でスポーティーな感じになりすぎたり、ちょっとおじさんぽい印象になっちゃったりして、なかなかスタイに使えそうな生地が見つかりませんでした。

肌触りや生地の風合いに関しては、コットンライクなものの方がスタイには適していると思っていて。普段のお洋服と合わせても違和感なく、おしゃれに見える素材でスタイを作りたいという点にもこだわっていました。そこから、コットンライクな素材感を持つポリエステル生地を探すという、すごく難易度の高いチャレンジが始まりました。求めているものに近い素材があるかを、いろんな生地屋さんに迷惑がられるくらいにしつこくヒアリングしました(笑)

何件もの生地屋さんを訪ね、ようやくコットンライクな風合いと吸水速乾性の両方を満たす生地に辿り着くことができました。これだ!と思い、すぐに試作品を作りましたが、洗濯テストを繰り返す中で、何度も洗っていくうちに毛玉がたくさん発生するということが発覚してしまったんです。

私たちが求めていたコットンライクな風合いのポリエステル素材は、糸の表面が毛羽立った構造になっていることでソフトな風合いを表現しています。洗濯すると、繊維が絡んでしまって毛玉になりやすいというのは、どうしても避けられないということが分かりました。

松本:スタイって子どもの顔のすぐ近くで使うものなので、天然素材のコットンの方が肌にはいいんですけど、一方で求めている吸水速乾性は圧倒的にポリエステルが優れていて。コットンライクなポリエステル素材でそれを両立しようとすると、毛玉ができやすいという課題はどうしても解決できないというのが、いろんなことを試してたどり着いた一つの結論でしたね 。

河井:それでも諦めきれず、糸の太さや編み方の違う生地を色々試して辿り着いたのが、最初に発売したIKOU Bib の生地です。試作品の生地よりも断然毛玉はできにくいのですが、それでも何度も洗濯を繰り返すと小さな毛玉は発生します。

そこで、モカ、薄ピンク、チャコールグレーといった、少しくすんだ色合いを選ぶことで、毛玉が目立たない色展開の工夫もしています。

松本:こうして振り返ると、素材に関しては本当にとことん追求してきましたね。

コットンライクでソフトな風合いにこだわったIKOUスタイ



「吸水性」「速乾性」、さらに「肌ざわり」も兼ね備えた素材がようやく見つかり、次はデザインを決めるフェーズへ。次回は、バンダナ型のデザインに詰まったこだわりをお伝えします。

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